秋の陽だまり
         〜789女子高生シリーズ (枝番)

         *YUN様砂幻様のところで連載されておいでの
          789女子高生設定をお借りしました。
 


まるで衣替えを見計らったかのように、
急な寒波が北方から列島目がけて降りて来たそうで。
朝晩が結構涼しくなったとはいえ、
昼間の内はまだまだ半袖で丁度よいほどのお日和だったものだから、
多少は油断もあった秋の日、
ほどよく引き締めてくれたようなもの。

 「おはようございます。」
 「おはよう♪」
 「今朝はまた、寒いほどになりましたわね。」
 「本当に。丁度 衣替えの日で良うございました。」

おっとりとした会話を交わす少女らは皆、
お揃いのセーラー服を…昨日までの純白の半袖から、
長袖で濃い色のそれへと着替えており。
どこからか漂い来たるキンモクセイの甘い香もきりりと引き立つ、
かすかに冴えた空気の中、
初秋の陽射しに照らされることで、
濡羽色の髪をやわらかな甘色に暖めながら、
朗らかに微笑み合いつつ、ご挨拶を交わしておいで。
それは静かなお屋敷町の中心にあたろう、なだらかな坂の上。
この辺りで最も古い建物として丘の上にあって、
清らかな乙女らを迎える古風瀟洒な女学園こそ、
全部が全部とまでは言わないが、
それでも通っておいでの大多数が、
名家のやんごとなきご令嬢ばかりという、
知る人ぞ知る究極のお嬢様学校であり。
大時代の少女小説じゃああるまいに、
どんな地盤にだって必ずと言っていほどに、
そこでの頂上を独占したい、とか、
他人はみんな見下ろすものだという価値観しかないよな、
挑発的な困った存在はいるもの…とはいうが。
裕福有名なお家の出であることを鼻にかけるような、
蓮っ葉なレベルの娘では、まずはふるい落とされよう、
微妙に奥の深い要素が、
ちらほら散りばめられてもおいでなところでもあって。

  例えば、
  それぞれの業界で1、2を争う名家の娘だということは、
  異業種のトップと仲たがいしては何にもならぬことくらい、
  よくよく御存知な身の御方ばかり。
  なので、
  なんで剣突き合ったりしましょうかという図式があちこちに。
  はたまた、
  此処はたかだか三年しかいない場所だからと油断しておれば、
  その後のずっと身を置くこととなる
  “社交界”というご婦人たちの世界にて、
  意外なお人が意外なご婦人に
  親がかりで可愛がってもらっておいでと明らかとなり。
  上下や優劣の立場が逆転するなんて生易しい代物ではない、
  一族全部を巻き込むような規模の しっぺ返しだって食いかねぬ。

そんなこんなで、
小娘の虚勢の張り合いなんて足元にも及ばぬ級の、
手ごわい大人たちや因習が待ち受ける、
魔窟のようなとさえ恐れられている社交界への旅立ちも間近い、
周囲が気ぜわしくなって来るお年頃の令嬢にとって。
日常にほんの僅かに残された、
溜息つけるオアシスであるという要素は特に強くって。
それがためだろ、滅多なことでは 波風立つよな騒ぎも起きぬ。
そんなお嬢様たちの楽園の秋は…と言えば。

 「あ、お姉様がたが。」
 「本当ですわねvv」

厳粛な風格漂う、鉄柵の門扉を通り抜け、
英国かフランスの王宮庭園を思わせる、
シンメトリーな構成を意識したそれ、
まだまだ緑の芝も茂みも木立も、きっちり整えられた前庭を進めば。
ほんの数日前までは、
梢の隙間から見上げる空もまだまだ濃青、
暑い日もまだ続きますねと語り合っていたはずが。
いつの間にやら色づき始めていた、
楓や木蓮、ハナミズキなどなどの落ち葉が、
石畳の遊歩道へかさりこそりと舞い始めてもおり。
そんなお庭の中程、
ほぼ等身大のブロンズのマリア様が佇んでおわす陽だまりに出ると、
お友達への会釈も大事だが、
この女学園の象徴でもあるマリア様へのご挨拶はもっと大事。
立ち止まっての“ごきげんよう”と、
目礼でもいいからご挨拶を送るのが、
特に言われはないまま、
それでも連綿と全生徒へ引き継がれている慣習であり。

 「…そういや、ウチって浄土真宗ですのにね。」
 「???(ウチは…えっと何だったっけ?)」
 「ウチは父からは何とかキリスト教ですが、
  お祖父様は確か、空海様の真言宗じゃなかったか?」

今現在の女学園でもっとも有名な三人娘が、
自分たちだけに届く範囲で こそこそっとそんな内緒を言い合いつつ、
傍目には見るからに優雅なお辞儀でもって、マリア様へのご挨拶を傾けており。
後から追いつき、間近になったクラスメートたちへ気づくと、
どこかお調子に乗ってもいたお言いようなぞあっさり引っ込めて。

 本当に金を漉き込まれている絲のような、さらさらの髪も神々しい、
 嫋やかな笑顔や品のいい所作が、皆様からの憧れ集める、
 元華族様のお家柄にして、
 日本画の大家・草野刀月画伯の自慢の娘姫の“白百合”様や。

 聖画に出て来る天使のような金の綿毛が軽やかで、
 なのに、凛と冴えた鋭角な風貌や表情がまた、
 年下のお嬢様がたから絶大な人気を集めておいでの、
 三木コンツェルン総裁一族の跡取り娘という“紅ばら”様。

 生まれは米国、シリコンバレーの一角で、
 世界的レベルの権威ある工学博士の祖父に溺愛されて育った天才。
 メカとコンピュータ操作はお任せというお顔を隠し持ちつつ、
 お天道様のような笑顔が朗らかな、Prof.林田の秘蔵っ子“ひなげし”様と。

周囲の皆様からそれぞれに冠されておいでの、
愛らしい初夏のお花の二つ名にも相応しい、
お行儀のいいお顔を取り繕ってる要領のよさよ。

 「おはようございます。」
 「おはようございます、草野さん。」
 「林田さん、おはよう。」
 「おはようございます、お姉様がた。」
 「紅ばら様、おはようございますvv」
 「……ああ。」

  こらこら、久蔵殿、ああはないでしょう、ああは。

  〜〜〜〜〜。//////(だって…。)

  まあま、シチさん。
  声がついてるだけでも
  相当に運がいいらしいんですよ、あの子らにはvv

ほら、嬉しさのあまりお顔が歪むのを見せまいと、
チョー猛ダッシュで駆けてきましたし。
おや本当に、転ばないようにね……といった具合で。
微妙に猫っかぶりなお嬢様がたも幾たりか紛れ込んでる、
そんな平和な女学園は、
今日も穏やかにその1日が始まるのでした。




      ◇◇


世間という荒波から完全に隔離され、
我れが我れがとの頂上争いをする浅ましさとは縁遠い方々揃い。
それは朗らか和やかな、
おっとりのほほんとしたお嬢様ばかりが集う場であることには
どんな年度であれ そうそう変わりはしないが。
何年かに一人、若しくは一組という周期で
ちょっぴり目立つお立場のお嬢様が現れるのもまた、
こういう環境には ありがちなものなのか。

  今現在の学園内で、そんな座におわすのが誰なのかは、
  わざわざ議論を待たずとも明白なこと。

そして、
他の物事へはさして動じぬお嬢様がたでも、
一途な熱狂を寄せる対象へは、
その滅多にはない一途さが嵩じて、
羽目を外しかねない時もある。

  曰く、
  どの 華の宮様が一番優雅か、
  一番麗しくも優れておいでか、と。

そんな他愛ない喧噪の失速、
何故だか親しいことへのやっかみ受けて、
時折小さな嫉妬へ巻き込まれかかりもした身であったけれど。
そんな思わぬ嵐が、
この、臆病だったお嬢様を少しずつ少しずつ強くもしたのだと思えば、
ついついその口許も、思わずの笑みにたわんでしまうというもので。

 「……v ////////」

病弱が祟ってのこと、学年が違ってしまい、
毎日逢えるとも限らぬお友達となってしまったお相手関わりのこと、
なのであれ、それでも学校が楽しくてしょうがない。
だというのに…急な冷え込みに誘発されたか、
なかなか止まらぬ、少しばかり怪しい咳が出たものだから。
今日の登校はお休みになさいますようにと、
身の回りの世話役の姉様がたからの
差し止めがかかってしまった身を切なく思いつつ。
されど、お世話をしていただく身、
幼子のように頑是ない我儘を言って困らせるのは善くないと。
溜息さえ飲み込んでの大人しく、
家人の皆様もお出掛けで静かなお屋敷の、
和風のお庭の一角にちょこりと設けられし離れにて。
濡れ縁の陽だまりに、ベロアのスカートを広げて座しておれば、

 「お嬢様。」

襖越し、女性の淑やかなお声がほとりとかかる。
何でしょうかと問い返せば、

 「龍魅様がお越しです。」
 「あ…はい、お通ししてくださいな。」

市松人形かそれとも禿(かむろ)か、
肩先で切り揃えられた しっとりつやつやした直髪がお揃いの、
だが、向こうはれっきとした男の子で、
しかもその髪が不思議なことには生まれつき銀髪という。
そんな風貌を、良いほうへ…妖しいと咎めるでない穏やかな家風の中に置く、
それは健やかにして理知的な、
しっかり者にして…こちらのお嬢様には数少ない、同い年のお友達。
畳の間だということでの、
戸口で正座したまま一礼を拝すお作法も完璧な、
端正なお顔の少年は、
雲居龍魅(たつみ)という名の、小柄ながらそれでも高校生男子であり。
居室側へと戻りつつの、
どうぞお入り下さいませとの勧めに応じて身を運び、

 「一子様には、お加減が悪いとのお話を聞きました。」

そのお見舞いにと まかりこしましたという、
丁寧なご挨拶を下さる折り目正しさは、
彼もまた、古風なしきたりを代々守る家系に生まれた身だから。
大人たちの間でのみ通じる しきたりや作法であるものの、
いずれは自身も関わり合いを持つことだけに、
今から馴染んでいても特に咎めは受けはせぬ。
むしろ、周到な仔ギツネがなぞと陰口利く者もあるような、
出来過ぎたことを誹謗する輩も当たり前にいるよな、
ちょっぴり微妙な世界の住人である彼とは、
父親同士のつながりで、縁のある身の一子であり。

 「そんな畏
(かしこ)まらないで下さいませ。」
 「ですが。」
 「でないと、わたくしも龍魅様とお呼びしますよ?」

目許をたわめ、ほこりと頬笑む可憐な少女。
シックな濃色のフレアスカートに、
丸襟のブラウス、玉子色のカーディガンという装いが、
初秋の陽だまりの中に溶け込みそうな、
それはそれは線の細いか弱さを負うており。
とはいえ、
ただただ か弱いばかりでもないものか、
目下への愛おしさを込めた言いようをするのがまた、
単なる大人の真似ごととは思えぬほどに、
実をともなう慈愛をたたえているものだから。

 「それは、困りますね。」

こちらも大人びたお顔をたまに見せもするおませさんが、
だからこそなのか、言い込められた振りをして、
龍魅少年もまた、肩肘張るのは やめにし、微笑う。

 「今朝はまた随分と冷え込みましたが。」
 「ええ、きっとそれで、咳き込んでしまったまでのこと。」

大事はないのですよと微笑った一子も、ならば善哉と微笑を返した龍魅も、
おっかない世界に親御がいる身の似た者同士。
とはいえ、そんな肉親を困り者だとは欠片ほども思っちゃいない。
確かに、世間からは白い目で見られてしまうのも已なき人種であるものの、
当人の資質や義理堅さ、人としてのありようの真っ当さは、
ともすりゃあ、虎ノ門のお偉いせんせえがたの誰よりも、
格も許容も覚悟も上に違いない人たちだと、
むしろ 誇りを持って胸を張って語れるくらい。
そんなこちらからの想いもちゃんと把握した上で、
だがだが、それでも幼い身には相当に強かろう、
世間からの冷酷な風当たりを考えてのことか。

  まだ十代にもならぬ内というもっとずっと幼いころに、
  外の世界へと里子に出された格好になっているのが、
  こちらの屋敷で、音読だけでの元の姓、
  “空木”を名乗っている一子であり。

龍魅の方は 実家に身を置いているとはいえ、
主たる務めを果たしておいでの兄と姉二人が寄り付かぬ格好をとることで、
やはり世間からの眸を逸らしてくれているようなもの。

  というのも。

六葩という繊細可憐な名前を冠しつつ、
されど恐ろしさでは世界に名だたるマフィアも同然の人種らの中、
現在の日本で一、二を争う、
組織力と実力を兼ね備えた組織に縁の深い彼らであり。

 「学校は楽しいですか? 一子さん。」

カモフラージュの最たるもの。
生え抜きの選ばれたお嬢様しか運べぬだろう、
上流階級の皆様のみが集う女学園へと、
籍を置いての通っておいでなのもまた。
関係筋の誰もが想いも拠らぬ遠隔地へと、
か弱いその身、楯にと攫われかねぬ彼女を、
かくまう意味もあっての思い切った采配であり。
そんなことでまで翻弄されている身を、されど卑下はせぬままに、
柔らかく微笑みながら頷いた一子嬢、

 「はい。毎日とっても楽しゅうございますvv」

一貫教育を謳うその学園へは、幼稚舎から通う身で。
とはいうものの、知己も後ろ盾もないままの孤立無援。
家同士のお付き合いがある子らほどには、
伸び伸びとも出来ずにいた、
まだ梅雨前の生暖かい風の吹いたその日のことを、
今でもはっきりと思い出せる一子嬢。
たった一人でお教室から立ってった、ご不浄からの帰り道。
選りにもよって、先生の影もなかったお廊下の真ん中で、
随分と大きめの ●●●●と、遭遇してしまったあの恐怖とそれから。

 『……………。』

あまりの怖さにどきどき高鳴る小さな胸を押さえ、
今にも気が遠くなりそうなほど怖かった彼女の前へと、
たまたま通りすがった、
あれはお隣りのもも組の、金の髪したお嬢様。

 『三木しゃまだわ。』
 『きゅーぞーしゃまvv』

遠巻きにしてではあれ、
その凛々しい態度へ憧れるファンを既に何人か作っておいでだった、
不思議な紅色の眸をしたお嬢様は。

 『……。』

虫の分際で一子をお廊下の端っこへと追い詰めていた●●●●に気がつくと、
視線だけにてその所在を睨んだそのまま、
まずは一子へ“よしか?”と訊くような目配せを送って来。
それからそれから、、
おもむろにそのお御々足を腿からと高々上げて見せ、
彼女へは背中を見せての
油断しまくりだった不埒な侵入者へ…音もなく近づくと、

  ――― どごぉ、だんだんだん、ばんばん、ぐりごりと

幼子の所業とは到底思えぬ徹底振り、
実に容赦のない攻撃を加えて昇天させ。
ついでに、駆けつけたシスターらに、
誰が彼女から上履きを脱がせるかで大もめさせたという、
困った伝説作ってしまった風変わりな逢瀬を機に。
お顔を合わせれば、どちらからともなく目礼をし合う仲となり、

 『しゅごいですわ、いちこしゃま。』
 『きゅーぞーしゃまと、目と目でお話しなしゃれるのですねvv』

どういう解釈なんだか、
急に彼女の周辺にも、仲良くしましょうという顔触れが集まり始めて。
お陰様でそれ以降の幼稚舎生活は、
孤立もせぬまま、無事穏当に過ごせたほど。

  これを単なる巡り合わせと思っておいでの、
  一子様であるらしかったが。

それは大人しいながら、その身の上に謎が多いところから、
大したお家柄では無さそうと見切られた末、
蓮っ葉な層からは、
下手を打つと鬱憤晴らしの的にされていたかも知れぬ。
そんな彼女だったのが、
いきなり、あの三木家の麗人、
謎めきの寡黙なお嬢様と仲よくなってしまわれて。
特に派手な言動はなさらぬながら、
それでも飛び抜けて麗しいその風貌から、
同級生たちばかりか、大人からも常に注目を集めてらした人だけに。
そんなお人の庇護を受けたとあってはと、
あっと言う間に姫様扱い、いじめてはダメダメよという級へ、
知らないうちに格上げされてしまった彼女だったのかも、

 “……というのは、わざわざ語ることでもありませんからね。”

大方、そんな流れだったんだろと、
何とはなく察していたらしき龍魅くんとて。
ほんわかと可憐で嫋やかな、
こちらの一子様の愛らしさ、
大切にして差し上げたいと思って止まぬお立場なだけに。

 「そうまで大好きなお姉様、ボクもいつかお逢いしたいなぁ。」
 「あら、それでは学園祭にお越しになりますか?」

十一月の頭に催される学園祭は、
家族や来賓を除き、在学生徒からの招待という形でしか入れぬ仕様。
秋には様々に、彼が打ち込む剣道の大会もおありだとかで、
あんまりこのような催しには運んでもらえぬ間柄だったけれど。
本当にお越しになれるなら、招待券をお届けしますわと、
楽しそうにころころ微笑う無邪気なお嬢様であり。
金色がかった秋の陽射しに、
すべらかな頬の真白な肌がほのかに霞み。
どこからか迷い込んだらしいキンモクセイの甘い香に、
さもお似合いの可憐さに、
お茶のお支度を運んでおいでの姉様がたが、
ほぉと見ほれた昼下がりだったそうでございます。





  〜Fine〜 11.10.04.


  *誰と誰なのか とんと判らないかも知れない、
   オリキャラしか出て来なくってすいません。
   時々ご登場の“一子様”を、もうちょっと掘り下げてみたくって。
   ちなみに、この“一子”というお名前、
   倭の鬼神様の母上の名前にする予定だったのの流用です。
   (だからどーした?の連続でしょうか? 重ねてすいません。)

   ちなみに、
   寡黙な少女二人を引き合わせた●●●●への天誅事件は、
   困り顔のシスターらに囲まれているところへ、
   黒髪のお兄様がお迎えに来て、
   そのまま しこたま叱られてしまった久蔵さんだったそうです。(大笑)

   『後片付け出来んのなら手は出すな。』
   『〜〜〜?』
   『見過ごせぬというのなら、せめて蠅たたきを常備して、
    それで退治すれば良い。』
   『……。(頷、頷)』

   そんな頃から、以心伝心、
   もしくは読心術に長けていた、榊せんせえだったそうな。(違)


  *それはともかく。
   こんな甘い学校なんて そうそう無かろうと思わんでもないです。
   十代後半、大人と子供の端境という微妙な時期は、
   単純に考えても、身体と心の双方が不安定でしょうし。
   そんな過敏なお年頃だっていうのに、
   周囲からの視線や影響力がこれまた微妙で、
   大人扱いされるかと思えば、まだ子供だと思い知らされる場面も多く。
   期待に押し潰されそうになったり、
   放任されていればいたで、
   どんなに自信があることへでも、ある日ふと不安は付きまとい。
   これまでの自分を振り返るほどもの、
   大きな急停止を余儀なくされたり…と。
   誰か何かへ、
   八つ当たりしなきゃやってらんないという鬱屈からの
   思いがけない衝動にこそ歯止めも掛からず。
   大きな壁にぶちあたっては、
   ちょっと離れて見るという小技を繰り出すような余裕もないまま、
   その場へうずくまってしまう…なんていう、
   青春のほろ苦さじゃあ収まらないあれやこれやは、
   どんな環境や待遇のお人にも、大小の差こそあれ、必ずあるはずで。
   大人の目が届かない“王国”の中、
   のちに必ず後悔するか、
   若しくは とんでもないしっぺ返しの来るだろう過ち、
   犯さないという保証は、
   それこそ…蓄積の少ないお子様ですから、ないったらなくて。
   そういった培地あってのこと、
   時折 衝撃報道されている いじめとか何とかも、
   なかなか絶えない、哀しき現状なんでしょうけれど。

   ただまあ、フィクションの中でくらい、
   天真爛漫で何不自由ないお育ちをし、
   人への八つ当たりなんてものも知らない、
   そんなお嬢様を夢見たっていいじゃありませんかということで。
   このシリーズの舞台となってる女学園に限っては、
   穢れなき乙女らが、
   日々是好日、それは朗らかに日々を過ごしておいでだと、
   ご解釈していていただければ幸いです。

ご感想はこちらへvv めーるふぉーむvv

メルフォへのレスもこちらにvv


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